令和3年10月のひとこと:糖尿病と腎臓の関係

秋晴れの心地よい季節となりましたが、コロナ禍の生活でなかなか気分の晴れない日が続きますね。
今月は糖尿病と腎臓の関係についてお話します。
糖尿病を放置すると、血液中の糖分が高い状態(高血糖)が続いてしまいます。
高血糖状態が続くことで血管が傷付いたり、硬くなり、
長い時間をかけて全身の血管で動脈硬化が進んでいきます。
その動脈硬化が腎臓で進行すると、
腎臓の糸球体が障害を受け、ろ過機能が低下することで尿中に蛋白が排泄されます。
この状態を「糖尿病性腎症」と言います。
それでも糖尿病の治療をせずに、高血糖状態が続くことで腎臓の機能は悪化し続けてしまい、
最終的に尿を作る機能の失われた「腎不全」の状態になってしまいます。
「腎不全」になってからでは遅いので、糖尿病の方は血糖や尿糖測定だけでなく様々な検査を行い、
合併症の早期発見、早期治療を目指しています。

院内で行っている腎臓に関する検査では、血清クレアチニン(Cr)、eGFR、血中尿素窒素(BUN)、
尿蛋白定性、微量アルブミンといった項目があります。
クレアチニンは筋肉に含まれる蛋白質の老廃物です。
血液中のクレアチニンは腎臓でろ過をされて尿中に排泄されるので、
正常な状態では血液中のクレアチニンは一定量に保たれています。
しかし腎臓の働きが低下してしまうと血液中からクレアチニンを除去出来ない為、
血清クレアチニン値が上昇します。
基準値は男性が0.6~1.1(mg/dL)、女性が0.4~0.7(mg/dL)です。
eGFR(推算糸球体濾過率)とは血清クレアチニンと年齢、性別から計算で求めた、
より詳しい腎機能の検査と考えてください。
腎臓の働きが悪くなると、eGFRは低下します。
検査値が60~90で正常~軽度低下、45~59で軽度~中等度低下、30~44で中等度低下~高度低下、
15~29で腎不全、15未満で末期腎不全となります。
血中尿素窒素は血液中にある尿素に含まれる窒素量です。
血中尿素窒素もクレアチニンと同様に腎臓の働きが低下してしまうと血中の値は上昇してしまいます。
基準値は8.0~22.0(mg/dL)です。
尿蛋白定性は言葉の通り、蛋白質が非常に多く含まれている尿のことです。
尿中に蛋白質が出ていることは糖尿病性腎症の危険性が高いです。
但し、膀胱炎や他の腎、泌尿器系の病気で出現することがあり、鑑別が必要です。基準値は(-)で(±)以上で高値となります。
微量アルブミンとは尿蛋白と同様に尿中の蛋白質を調べる検査です。
クレアチニン、BUN、尿蛋白は糖尿病性腎症がかなり進行しないと分からないのに対し、
微量アルブミンは糖尿病性腎症を早期に発見することが出来ます。

もし検査結果で不明な点があれば、医師またはスタッフまでお気軽にお声掛け下さい。お大事に。


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Posted by あそうクリニック at 2021年10月01日 14:31│Comments(0)糖尿病・甲状腺トピックス今月の一言
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