平成29年8月のひとこと:糖尿病腎症①
みなさん、こんにちは!暑い日が続きますが体調はいかがですか?
今月は糖尿病の三大合併症の一つ、「糖尿病腎症」についてお話しします。
自覚症状がないままゆっくりと進行するこの病気は、進行するほどに治療が大変になり、
かつ「糖尿病腎症」には特効薬が存在しないため、早い段階から適切な予防・治療を行うことが
重要になります。
糖尿病の腎症の早期には自覚症状がほとんどありません。尿検査で蛋白が陽性となり、
むくみなどの自覚症状が現れるのは腎症がかなり進行してからです。
糖尿病腎症は、1998年に慢性糸球体腎炎を抜いて透析導入の原因となる腎臓病の第一位になりました。
したがって、腎症を早期に診断しその進行を予防することは、
糖尿病患者さんの生活の質や生命予後を改善する上でとても重要です。
◎尿中のタンパク(アルブミン)を調べる
早期の腎症を発見するためには、尿中アルブミン検査が有効です。
この検査は、尿の中の非常に微量のアルブミンを、高感度の検査法で見つけだすものです。
したがって、通常の尿検査で尿蛋白が陽性になる前の初期の状態から尿中アルブミンの排泄量を測定
することで腎症の評価をすることができるのです。
一般に腎症は血糖コントロールが悪いと、糖尿病の発病から10年位で発症するといわれていますが、2型糖尿病では発病がいつなのか正確にわからないため、糖尿病である人は血糖コントロールを良好に保っている人も含めて定期的な尿中アルブミン検査が必要となります。
当院では、糖尿病腎症早期発見のために対象となる糖尿病患者さんに、半年毎に尿中アルブミン検査を実施しております。
当クリニックでお渡ししている検査データの、「尿中アルブミン(定量)」(正常0~29㎎/g・Cr)の項目となります。30未満が陰性(1期)、30~300までの範囲が陽性(2期)、300以上が3期疑いと
なります。
◎腎症の程度を知る
尿アルブミン検査、血液検査による腎機能検査を行ない、腎症の程度を5段階病気に分類します。
腎症前期(1期):腎症が出現する前ということで、尿アルブミンの出現はなく(30㎎/g.Cr未満)
腎機能の著明な低下もありません。
早期腎症期(2期):尿アルブミンの出現(30~299㎎/g.Cr)をもって、腎症を発症したと診断します。
この時期は血糖、血圧を適切にコントロールすることで腎症を改善できる可能性があります。
顕性腎症期(3期):尿アルブミンが更に増加し、300㎎/g・Cr以上となる病気で、通常の尿検査でも蛋白尿が持続的に陽性に出ます。この病期から腎機能が徐々に低下してくることが多くなります。
腎不全期(4期):腎機能eGFR)30ml/分㎡をもって、腎不全期であると診断します。
透析療法期(5期):腎不全がさらに進行し、透析療法を行なっている時期です。
糖尿病腎症の治療の第1歩は、腎症について知ることです。ご自身が腎症を発症しているのか、
どの病期にいるのか知らない方は、医師や看護師に聞いてみて下さい。
次回も腎症についての続きをお話ししたいと思います。
今月は糖尿病の三大合併症の一つ、「糖尿病腎症」についてお話しします。
自覚症状がないままゆっくりと進行するこの病気は、進行するほどに治療が大変になり、
かつ「糖尿病腎症」には特効薬が存在しないため、早い段階から適切な予防・治療を行うことが
重要になります。
糖尿病の腎症の早期には自覚症状がほとんどありません。尿検査で蛋白が陽性となり、
むくみなどの自覚症状が現れるのは腎症がかなり進行してからです。
糖尿病腎症は、1998年に慢性糸球体腎炎を抜いて透析導入の原因となる腎臓病の第一位になりました。
したがって、腎症を早期に診断しその進行を予防することは、
糖尿病患者さんの生活の質や生命予後を改善する上でとても重要です。
◎尿中のタンパク(アルブミン)を調べる
早期の腎症を発見するためには、尿中アルブミン検査が有効です。
この検査は、尿の中の非常に微量のアルブミンを、高感度の検査法で見つけだすものです。
したがって、通常の尿検査で尿蛋白が陽性になる前の初期の状態から尿中アルブミンの排泄量を測定
することで腎症の評価をすることができるのです。
一般に腎症は血糖コントロールが悪いと、糖尿病の発病から10年位で発症するといわれていますが、2型糖尿病では発病がいつなのか正確にわからないため、糖尿病である人は血糖コントロールを良好に保っている人も含めて定期的な尿中アルブミン検査が必要となります。
当院では、糖尿病腎症早期発見のために対象となる糖尿病患者さんに、半年毎に尿中アルブミン検査を実施しております。
当クリニックでお渡ししている検査データの、「尿中アルブミン(定量)」(正常0~29㎎/g・Cr)の項目となります。30未満が陰性(1期)、30~300までの範囲が陽性(2期)、300以上が3期疑いと
なります。
◎腎症の程度を知る
尿アルブミン検査、血液検査による腎機能検査を行ない、腎症の程度を5段階病気に分類します。
腎症前期(1期):腎症が出現する前ということで、尿アルブミンの出現はなく(30㎎/g.Cr未満)
腎機能の著明な低下もありません。
早期腎症期(2期):尿アルブミンの出現(30~299㎎/g.Cr)をもって、腎症を発症したと診断します。
この時期は血糖、血圧を適切にコントロールすることで腎症を改善できる可能性があります。
顕性腎症期(3期):尿アルブミンが更に増加し、300㎎/g・Cr以上となる病気で、通常の尿検査でも蛋白尿が持続的に陽性に出ます。この病期から腎機能が徐々に低下してくることが多くなります。
腎不全期(4期):腎機能eGFR)30ml/分㎡をもって、腎不全期であると診断します。
透析療法期(5期):腎不全がさらに進行し、透析療法を行なっている時期です。
糖尿病腎症の治療の第1歩は、腎症について知ることです。ご自身が腎症を発症しているのか、
どの病期にいるのか知らない方は、医師や看護師に聞いてみて下さい。
次回も腎症についての続きをお話ししたいと思います。